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秋田地方裁判所 昭和55年(わ)211号 判決 1981年2月19日

裁判所書記官

船木繁

本店

秋田県平鹿郡平鹿町浅舞字沼下六八番地

有限会社細谷商事

(右代表者代表取締役細谷信一)

本籍

秋田県平鹿郡平鹿町浅舞字沼下六六番地

住居

右同所六八番地

会社役員

細谷信一

大正一五年九月二九日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中山純一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社細谷商事を罰金一、三〇〇万円に

被告人細谷信一を懲役一年に

それぞれ処する。

被告人細谷信一に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社細谷商事は秋田県横手市神明町一四番二三号に本店事務所を置き、旅館業を営むもの、被告人細谷信一は、被告会社の業務全般を統括していた同会社の従業者であるが、被告人細谷は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、多額の売上金を除外する等の不正な方法により所得金額を秘匿したうえ

第一  昭和五一年一一月一日から昭和五二年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五二、五一五、六二三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五三年一月四日、同市旭川一丁目五番八号所在横手税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が五、四七一、六三八円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二〇、一六六、〇〇〇円(税額の算定は別紙(三)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五二年一一月一日から昭和五三年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、七二、三八五、九七七円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五三年一二月三〇日、前記横手税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一、九四八、九六三円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額二八、一一四、〇〇〇円(税額の算定は別紙(四)ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、被告人細谷信一の当公判廷における供述

一、被告人細谷信一の検察官に対する供述調書二通

一、被告人細谷信一の大蔵事務官に対する質問てん末書二九通

一、細谷トキ子、細谷美夫、細谷祉子、細谷重蔵、蔦屋よし子および藤谷清二の検察官に対する各供述調書

一、細谷トキ子、細谷美夫(四通)、細谷祉子(三通)、細谷重蔵(四通)、蔦屋よし子(二通)、細谷七造(二通)、細谷コト子、細谷キサ、佐野トシヱ(二通)、佐々木十九子、藤原ミサ、東海林ハル、東海林イネ、藤谷清二(四通)、佐々木光雄、高橋弘、小川晃、石川兵左エ門、桜田千代見および菊谷日出夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、佐々木吉男、藤谷清二、岡崎文豊、谷地治夫、大村善一、菊谷日出夫、小川晃、川村ミヨ、佐藤勝視、小倉勝男、細谷祉子(三通)および柿崎多津子(二通)作成の各上申書

一、奥村武司、加賀谷勇三郎、七山三郎、豊島茂、荒木孝美、伊藤秀雄、伊藤貞助、石川喜代治、北原歳久(二通)、小松昭、大橋征雄、加藤敬司、神谷勇一、伊藤栄次、熊谷辰五郎、栗田三男、佐藤文吉、佐々木誠一、佐々木文一郎、塩原昭吉、柴田長助、柴田金彦、柴田貞治、東海林定夫、鈴木忠夫、樋渡春男、熊川智樹、小松英已、本庄繁夫、松田畳店、森屋操、最上政太郎、山木敬一、栗林三郎、大倉利弘、長谷川八蔵、小松菊蔵、太田徳太郎、花橋永三郎、加賀谷春蔵および谷口健二作成の各「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一、収税官吏佐藤利克作成の銀行等調査書

一、大蔵事務官作成の「所得税の納付状況照会に対する回答」と題する書面

一、横手市長、秋田市財政部収税課長、湯沢市長および平鹿町長作成の各「税の納付状況照会に対する回答」と題する書面

一、平鹿県税事務所長(三通)、雄勝県税事務所長、仙北県税事務所長、神岡町長および大曲市長作成の各「地方税の納付状況照会に対する回答」と題する書面

一、大蔵事務官作成の「公表売上の内訳調査書」「モーテル月の世界及びエンペラーにおけるシーツの洗濯枚数調査書」「モーテル情熱における利用客除外組数調査書」「月の世界及びエンペラーにおける責任者等から使用したシーツ枚数調査書」「売上除外額調査書」「仕入金額調査書」「簿外修繕費等調査書」「不動産取得税調査書」「簿外給料手当調査書」「簿外預貯金等調査書」「簿外借入金調査書」「簿外預り金調査書」「簿外資産等調査書」「簿外未払金調査書」「個人預貯金等調査書」「個人税金調査書」「社長勘定調査書」「簿外損益計算書」「簿外貸借対照表」および「脱税額計算書説明資料」と各題する書面

一、商業登記簿謄本

判示第一の事実について

一、大蔵事務官作成の「未納事業税額計算書検甲144号」「脱税計算書検甲146号」「修正確定申告書謄本148号」および「領収済通知書謄本検甲150号」と各題する書面

一、押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五六年押第一号符号一)

判示第二の事実について

一、大蔵事務官作成の「未納事業税額計算書検甲145号」「脱税計算書検甲147号」「修正確定申告書謄本検甲149号」および「領収済通知書謄本検甲151号」と各題する書面

一、押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五六年押第一号符号二)

(法令の適用)

被告会社有限会社細谷商事の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、一六四条一項に該当し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一、三〇〇万円に処し、被告人細谷信一の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人細谷信一を懲役一年に処し、被告人細谷信一に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 山本武久)

別紙(一) 修正損益計算書

自昭和51年11月1日

至昭和52年10月31日

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

自昭和52年11月1日

至昭和53年10月31日

<省略>

<省略>

別紙(三) ほ脱税額計算書

<省略>

別紙(四) ほ脱税額計算書

<省略>

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